学生の頃、両親に連れられ初めて訪れた海外は、
アメリカでも、ヨーロッパでもなく、エジプトでした。
緊張と興奮で眠れずにいると、日の出とともに、
礼拝時刻を告げる声(アザーン)が街中に響きわたります。
砂埃の混じった乾いた匂い、白みゆく空、
茶褐色の街並、アザーンの神秘的な音色・・・
全てが混ざり合う一瞬に訪れた、特異な街の空気。
ー全然違う日常がここにはあるんだー
その時の胸の高鳴りを今も鮮明に覚えています。
「その場所がもつ力」にすっかり魅了され、
学生時代は貧乏旅行に熱を上げました。
自分にとって、場を「創りだす」こと、
それを仕事に選んだことは、とても自然だったような気がします。
まだ見ぬ空気を求めて、建築をつくる。
あの朝、アザーンに感じた高揚を。
未知の光景に包まれ、新たな日常にワクワクする気持ちを、他の誰かにも。
HP、introductionにある紹介文です。
昨年、モロッコへ旅行に行きました。
砂埃と、喧噪と、エネルギーに満ちた都市。
勿論久しぶりのアザーンも。
ああそうだ、この空気。
初心にかえって、また面白い空気をつくりたいな、と思ったのでした。